男脳、女脳
夜中に痒みで目が覚めた。両腕と両腿が、まだらに腫れている。半分寝ぼけた意識の中で、掻いてはいけない、と必死に思いとどまり、気休めに手のひらで擦る。ここに蕁麻疹がでたのは初めてだ。痒みと戦いながらも、直に眠りに戻った。
翌朝、そのことを夫に話した。すると「別の病院へ行ったら?」と言う。その返答にがっかりした。
蕁麻疹は原因特定が難しいことは、医者にも言われているし、自分でも調べてわかっている。15年前の蕁麻疹も、回復するのに年単位が掛かった。別の病院へ行ったからといってどうなるものでもない。夫にもそういう話はしている。
そもそも「昨晩、痒みで目が覚めてしまったよ」ということを、ただ聞いて欲しかっただけだった。返事としては「そうだったんだ」だけでもよかった。「その後眠れたの?」とか「それは大変だったね」とか、もし言ってくれるなら嬉しいけれど、そこまで望んではいない。
「別の病院へ行ったら?」と言われると、今、私が通っている皮膚科にダメ出しされた感じがするし、私ができることをしていない、その結果、痒みが出るんだから仕方がない、と言われているような気がしてしまう。
もちろん夫にはそんなつもりはないだろう。論理的思考で、解決策を導きだそうとする男脳のなせる業だろう。夫が出かけた後、しばらくやめていたチョコレートを口にした。ひとつ、ふたつ、みっつ、と口に入れる。アーモンドの入った私の好きなチョコレート。蕁麻疹とは関係ないかもしれないが、刺激物は控えていたというのに、がっかりした私の女脳の感情がそれを止められない。
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