ホームベーカリー
うちにはホームベーカリーがない。欲しい、買いたいと長いこと思いながら、何となく機を逸してしまった。
生まれた息子はアトピーだったので、もう少し大きくなってから、と思ったし、当時、社宅住まいで、狭いキッチンにこれ以上物は置けないとも思った。
私が子供の頃、実家には餅つき機があった。調べてみたら日本初の家庭用餅つき機、東芝の“もちっ子”の発売は昭和46年だった。
物心ついた時には家にもうあったので、両親はかなり初期に買ったのだと思う。お正月にはもちろんだが、年中使って家で餅をついていた。出来立てのお餅は最高においしかったし、熱っ、熱っと言いながら、家族で餅を丸めるのも楽しみだった。
ホームベーカリーでは餅もつける。今でも欲しいと思っているし、先に書いた買わない理由は今では解消されたのに、やはり躊躇している。
両親が亡くなった今、家で餅をつくという光景は、私のノスタルジーを誘う。元気だった父母がそこにいて、なつかしい家族の思い出がある。今、もしホームベーカリーを買って
家で餅をついたりしたら、その度に悲しい気持ちになってしまいそうだ。
こんな風になる前に買っておけばよかった。
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