誰にも言えない

ぐずぐずの引きこもりの私。いつからこうなったのだろう。誰にも言えないから書きます。

家で毛染めしてみる

遠い国の月子

美容院へ行ったのは1ヶ月前のことなのに、もう白髪がほぼ元通りだ。


→ 久しぶりの美容院


新たに伸びた根元ではない。前回染めたはずの部分の色が落ちている。これはいくらなんでもひどいだろう。あの時、カラーを担当してくれた若いアシスタントの技量のせいか。あの美容院には、もう行きたくないと思っていたが、その気持ちが確固たるものになる。


そういえば、巷では、客がカラー剤を持ち込み、手頃な価格でプロが染めてくれるカラー専門店なるものがあるらしい。妹は、いつもそういう店を利用しているのだと言っていた。この辺りにはない。うらやましい話だ。


1ヶ月でまた美容院へ行くのは、経済的に許さない。雨の日の午後、市販のカラー剤を使って、自分で毛染めをしてみた。簡単にきれいに染まる、などと宣伝されているが、実際は、全然そうはならない。私が不器用なだけなのか。労力もこんなに必要なのに、結果が伴わないので、がっかりして、疲れが倍増する。


不貞腐れて、濃いめのアイスコーヒーを淹れた。それを飲みながら思い出す。


母がよく家で毛染めしていたこと。いつの頃だったか、母はベリーショートにしていた。あれは、今の私と同じ歳くらいであったかもしれない。もっと年を取ってからは諦めもあったのか、肩のあたりまで伸ばしていたが、ベリーショートにした頃は、まだ白髪を隠したい年代だったのだろうと思う。私もそうだ。だから、家での毛染めが楽なように、髪を短くしたのかもしれない。もうその頃は、両親と一緒に暮らしていなかったので、なぜあんなに短くしたのかを聞いてはいないけれど。目鼻立ちがはっきりした瓜実顔の母に、その髪型がよく似合っていたのだけ、はっきり覚えている。


私は母には似ておらず、父譲りの丸顔だ。この輪郭で、母ほど短くするには抵抗があるが、もう少しくらいは短めにしたら毛染めもうまくいくのだろうか。鏡の前で髪をいじってみる。雨はまだ止まない。

足の裏の棘を夫に抜いてもらう

遠い国の月子

たまにする庭仕事で、足の裏に棘が刺さってしまったようだ。


→ 夫の帰りが遅い日


以前もあったのだが、その時は、知らないうちに取れたのか、自然に痛みがなくなったのだが、今回は3日目になっても痛みが強い。簡単な庭仕事なので、この季節、ついつい裸足にサンダルで表に出てしまうのだが、それがいけないのだろう。


自分でどうこうするには難しい箇所だ。足の裏、小指の付け根から5センチほど下の場所。(この説明で分かるだろうか?)棘が本当に刺さっているかどうかも確認できない。


申し訳なかったが、仕事から戻った夫に見てもらう。夫は近眼で眼鏡をかけているのだが、最近はそこに老眼が加わり、近くを見る時は眼鏡を外す。「あー、刺さってるね。結構奥に入っちゃってるよ。」と言う。やっぱりだ。3日間で深くに押し込まれてしまったのだろう。


予め用意しておいた熱湯で消毒した針と毛抜きを使って、夫が棘を抜こうと試みる。なかなかうまく取れなくて、何度も針で突かれる。自分でやるなら加減もできるが、人のはそうもいかない。夫も苦労している様子。遠慮気味に、チクチク何度もやられるのが、堪らない。思い切って一回でグサッとやってくれた方が、楽なのに、などと思いながら耐える。それでもなかなか取れない。


「もう、すぐそこにあるんだけどな。」と夫が顔を上げて言う。眼鏡を外した夫の顔が、ずいぶん老けたと気づく。普段は眼鏡の縁で気が付かなかったが、目の下の隈がこんなに濃かったか?仕事で疲れているのだろうか?疲れて帰ってきて、妻の足の裏の棘を、床に這いつくばって取ろうとしてくれている。とてもありがたい。二人とも、歳をとってしまったな、と思う。


「難しいなー」と言って、夫は針を置いて、今度は自分の指の爪を立てて、患部をほじるようにした。すると「あれ?取れたかもよ。どう?」と私に聞いた。


触ってみると、あのチクチクとした違和感が消えている。棘が取れたのだ。よかった。ありがとう。今度から、庭仕事の時は、靴下やスニーカーを履くようにしないと。


夫よ、大げさだが、あなたがいてくれてよかった。いや、棘を抜いてくれたからというだけではないよ。眼鏡を掛け直しいつもの顔に戻った夫に思った。

タピオカドリンクの波

遠い国の月子

スタバもないような、こんな郊外の町にも、タピオカドリンクの波がやってきた。友人を駅に迎えに行った時、若い人たちがタピオカドリンクを片手に、楽しそうに歩く姿を見かけた。飲み残しや、空カップの捨て方のマナーが問題視されていることは知っているが、若い人が、新しい流行に飛びつくのは、いつの時代も同じ。そのフットワークの軽さが眩しい。今どきの若い女性や、制服姿の女子高生のグループ、若いカップル。その中に、男子だけのグループもいることに、少し驚く。大学生くらいなら分からなくもないが、どう見ても高校生というには幼い、中学生の息子と同じくらいに見える子も多い。


息子に聞いてみると、クラスの男子でも、タピオカドリンクを飲みに行くという子がいるらしい。塾の行き帰りに連れだってお店に寄るのだという。ちなみに息子は未体験。「友達から誘われたことないの?」と聞くと「ない」と言う。息子は学習塾には行っておらず、駅前に出る機会がほとんどないからだろうか。「ない」という、その返事の裏に、行きたいという好奇心が見えるかどうか、息子の表情を探るが、わからない。


友達同士で駅前に出ることを、息子に禁止しているわけではないので、行きたければ行くだろうと思っているが、中学生ともなると塾に通っていない子のほうが少数派で、その息子は、友達の大勢に乗り遅れぎみだということは何となくわかっていた。


「今度、お母さんと一緒に行こうか?」と聞くと「別にいいし。」と小さな声で言われた。「いいし」というのが拒否の意味だとはわかっているが、いいなら行こうと強引に連れ出したら、付いてきそうな気もする。さて、どうしようか。

友人にエールを送る

遠い国の月子

遠くに住む友人が訪ねてきてくれた。今は飛行機の距離に住んでいるのだが、我が家から電車で1時間半ほどの所に、ある名所があり、そこを2泊3日で訪れた帰りに寄ってくれたのだ。ついでとはいえ、帰路の途中、遠回りをして寄ってくれることが嬉しく、感謝した。


その友人と出会った時、私はまだ20代後半で、彼女は30代半ばだった。同じ職場で一緒に働き、その後、それぞれの転職に伴い、彼女が引っ越し、私も引っ越した。あれから20年強が過ぎた。その間、物理的な距離がありながらも、濃すぎず、薄すぎずの付き合いが続いた。1、2年に一度くらいは会っていたと思う。


しかし、私が実家で色々あったのと時を同じくして、彼女の実家でも色々あった。段々自由に会えるようではなくなり、最後に会ってから、5年は経ってしまった。


再会した彼女は、明るくエネルギッシュなままだった。会わない間に、私は両親を亡くし、実家も手放して、精神的にはまだまだだが、状況は一段落したところである。一方、彼女は、変わらぬ苦難の中にいた。今回の旅は、そんな中での、ささやかな休日だったのだ。


悠々自適に、一人旅を楽しんでいるように傍からは見えるかもしれない。まさか、彼女がそんな苦労を抱えていることなど、誰が想像できるだろう。それほど彼女は快活な人だ。平均寿命よりも早くに両親を亡くし、何もできなかった私と、長生きしてくれている親のことで、日々苦労が続く彼女。これが運命というものなのか。お互いの状況は、望む望まないに関係なく、正反対に見える。それぞれがそれぞれの苦難を抱えていると、改めて知る。


最寄り駅で彼女を迎えたあと、二人で昼食を共にしながら2時間ほど過ごした。彼女が現状を淡々と話す。それは想像以上のものだった。その後、我が家に来てもらい、夫と息子に会ってもらう。彼女が最後にうちの息子に会ったのは、まだ小学校低学年の頃だったと思う。彼女は成長に驚き、まるで親類のおばちゃんのように、息子を嬉しそうな目で見ていた。


その日の最終の飛行機を予約していた彼女は、数時間、我が家で過ごした後、帰路についた。本当は泊っていってもらいたかったし、それが無理なら、せめて夕食を振舞いたかったが、彼女は、気楽に旅を終わらせたかったのだろうと思う。一人でいる時間が必要で旅に出た彼女を、無理に引き留めることはしなかった。


この旅が、彼女に明日からの活力を与えてくれたと信じたい。また会おうねと手を振って別れた彼女に、心からエールを送る。

ポップコーンをぶちまけたら

遠い国の月子

ポテトチップスやポップコーンなどの袋菓子。息子はもちろんだが、夫も私も好きだ。そういう袋菓子を食べる時に、私ルールを家族に徹底させている。それは


『直手禁止。必ず器に入れて食べること。』


うるさいようだが、家族で共有して食べるので、汚い手や舐めた指を、直に袋に入れて食べて欲しくないのだ。家族なんだからいいでしょと思う方も多いと思う。確かにそれは正論だ。でも私はやっぱりだめなのだ。特に息子の手は汚い!舐め舐めも多い!


今日は買ってきたばかりの、私好みのポップコーンを開封した。食べる分だけ器に移して、テレビを見ながら食べていた。そこに息子が来て、一緒にテレビを見始める。


「それ、何味?」と息子が聞くので、ちょっと器を持ち上げて答えようとした時に、なぜかバランスを崩して、器が手から滑り落ちた。そして、見事にポップコーンをぶちまけてしまった。それも息子の目の前で。


「あーあ」と息子が言う。私も同じ気持ちだ。息子が一緒に拾ってくれる。拾いながら口に入れるので、「いー、いー、食べなくてー。」と私は言う。息子は笑いながら、「これ、バター醤油ね。僕も好き。」と言う。さっき、私が言い損なった答えだ。そして、「掃除機持ってくる。」と部屋を出て行った。


なんだよ、息子。器に入れろと、いつも言っていての結果がこれだ。嫌味の一つも言うかと思っていたが、何も言わないのか。なんか、カッコいいよ、息子。あまりがみがみ言うのを止めようと、反省した。