誰にも言えない

ぐずぐずの引きこもりの私。いつからこうなったのだろう。誰にも言えないから書きます。

不機嫌な人/Fさん

忘れられない不機嫌な二人。



もうひとりは、職場で一緒だったFさん。家庭と同様、職場にこういう人がいる場合も周囲は辛い。毎日のことだし、簡単に、関係を断つわけにはいかないからだ。


父は、突然、不機嫌になるタイプだったが、Fさんは、いつも不機嫌なタイプだった。ただし、相手による。


彼女は専門職で優秀な人だった。彼女の不機嫌な面を知らない人からの評価は高かったし、ショートカットでさばさばした雰囲気は、女性っぽいネチネチした不機嫌さとは真逆だった。彼女は、基本的に、誰にでも不機嫌なのだが、ごく稀に、彼女とうまくやれるという奇特な人が数名いた。不機嫌になる相手、うまくやれる相手は、性別、年齢、学歴、入社年度、どれもバラバラで、何がそうさせるのかよく分からなかった。上司や社外の人に対しても不機嫌だったので、出世や自分の有利になるように、意識してうまく立ち回るというのでもない。ただ、人によって態度を変える人。彼女はそういう人なのだと、諦めるしかなかった。


私に対しても、初対面の時から不機嫌満載だった。仕事でどうしても彼女と関わらざるを得ないのは苦痛でしかない。直接対面するのを避けて、メールやメモなどを活用するが、それで済む仕事ばかりではなかった。


昔、職場の人間関係のストレスで蕁麻疹になったと書いたのだが、原因はこのFさんに違いないと思っている。



子供の頃、父の不機嫌から学んだことだが、Fさんの理不尽な態度に対して、私は自分を責めたり、卑屈になることはなかった。彼女の不機嫌の原因は彼女自身の中にある。彼女の機嫌は、彼女自身が取るしかない。だから私は、ただ淡々と仕事をした。うまくやれていると思っていた。しかし、数年後に蕁麻疹という形で現れた。


彼女とは、妙な因縁がある。私がその職場を去り、結婚して、2回引っ越しをした、職場とは遠く離れた縁のない土地で、Fさんと再会したのだ。7年ほど前のことだ。驚いた。ある場所で、遠くから笑顔で手を振りながら現れた彼女を、私は亡霊でも見る思いで見つめた。あの、いつも不機嫌だったFさんが、なぜ今ここにいて、私にこんな笑顔を向けているのか理解できなかった。彼女は結婚し、今は2児の母親だと、機嫌よく話した。あんなに毎日不機嫌に私に接していたことを忘れているのだろうか?どうしてそんな朗らかに話しかけられるのだ?それは、不思議というよりも、病的で怖いくらいだった。質問が私に向けられそうになったところで、私は友人と一緒なので、と軽く会釈して別れた。私は、2度とその場所へは行っていない。