母の生い立ち(13)
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やがて中学校の卒業が近づき
進路を決める時が近づく。
学年で一番の成績の母だが
高校には進学しなかった。
学校の先生が新養父母のもとを訪れて
ぜひ進学させてやってほしいと言いに来たという。
しかし進学しないというのは
母の意思であった。
もし進学を望めば進学させてもらえただろうか。
だめと言われる前に
自分から別の道を選ぶという
母なりの遠慮であり
プライドであり
自分が傷つくのを避ける方法であったように思う。
それと同時に
少しでも早く窮屈な家を離れて
ひとりで自由に生きていきたかったのだろう。
しかし、せめて高校まで行けばよかったと
母は後々後悔していたと思う。
母がパート先に出す履歴書を
私がうっかり見てしまったことがある。
そこには田舎の高校を出たことになっていた。
母が劣等感を抱えていたのが
そこに透けて見える。
ちなみに
祖母の本当の孫である
弟は地方の大学へ、妹は東京の短大まで進んでいる。
それを考えれば
母だけが中学までしか出ていないというのは
やはり何かもの悲しい。
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